フリッツ・ヘニングセン
フリッツ・ヘニングセン(1889-1965)は細部に到るまで妥協することなく仕事をするデザイナーとして知られていました。また、伝統的な家具職人技巧を重視し、クラフトマンシップ溢れる家具を作り出すことを信条としていました。ヘニングセンの家具は、クラシック様式の表現方法を基本に、それをよりオーガニックに、そしてモダンにリデザインしたものがほととんどです。細部にまで妥協することなくこだわることから、自分の工房以外で製品を生産することには非常に消極的で、ごくわずかの工房にしか自分のデザインを提供していませんでした。ヘニングセンの存命中、自分のデザインを任せられると信用された工房はわずか二社でした。その一つが、フリッツ・ヘニングセンがデザインしたウィンザーチェアを70年に渡り生産したカール・ハンセン&サンです。
モーエンコッホ
今やデザインアイコンとなっているフォールディングチェアや書棚で世界的に知られるデザイナー、モーエンス・コッホ。1925年から1930年までコーア・クリントの元で仕事をしたほか、1950年から1968年まで王立アカデミー家具科の教授を務めました。モーエンス・コッホの仕事は住宅設計、モニュメント、家具、テキスタイル、シルバーウエア、そして執筆と幅広い分野に及んでいます。多作ではないものの、いずれもオリジナリティのあるベーシックなデザインばかりです。また、作品の多くがモーエンス・コッホ自身の生活と密着しています。モーエンス・コッホはEckersbergメダル(1938年)、C.F.Hansenメダル(1963年)、ID Prize(1992年)など数々の賞を受賞しています。
オーレ・ヴァンシャー
1903年コペンハーゲンに生まれたオーレ・ヴァンシャーは、デンマークデザイン界に大きな功績を残しています。家具を建築の一つとして考え、プロポーションとフォルムを重視したオーレ・ヴァンシャー。王立芸術アカデミーで師事したコ-ア・クリントの事務所で、1924年から27年まで仕事をし、その後家具デザイナーとして独立します。また、コーア・クリントの後継者として王立芸術アカデミーの主任教授に就任し、デザイナー教育にも力を注いでいます。デンマークの新聞ポリティーケン紙は1958年、オーレ・ヴァンシャーの家具について次ように記しています。「オーレ・ヴァンシャーの椅子を購入すると、それから何百年も毎日、毎日その椅子に座ることにななります。なぜなら彼の椅子はそれだけのすごい耐久性を備えています。」 オーレ・ヴァンシャーの代表作のほとんどが、1940年から1950年代前半にかけて発表されています。機械生産が可能な、高品質の家具が求めらる中この課題に真っ向から取り組み、数々の製品をデザインしていったのです。家具デザインにおいてオーレ・ヴァンシャが追求してきたのは、軽快で優美なフォルムと言えます。エレガントにカーブを描き、流れるように前脚と一体になるアームを持つ椅子がたびたびデザインされています。その一例が「コロニアルチェア」です。クラシックさとモダンさを兼ね備えた、オーレ・ヴァンシャの代表作といえるアームチェアです。
コーア・クリント
王立芸術アカデミーの主任教授として、数多くのデザイナーに大きな影響を与えたコーア・クリント。家具の機能、素材、クラフトマンシップにフォーカスした斬新な教育方針でデンマーク家具デザインを改革していきました。サファリチェア、フォーボーチェアなどのデザインで知られ、デンマークモダンデザインの父と称されるコーア・クリント(1888-1954)。クリントはデンマークの家具デザインを大きく改革。クリントは明確でロジカルな構造、無駄をそぎ落としたシンプルなライン、質の高い素材の使用、そして質の高いクラフトマンシップをデザインに求めたのです。
ハンス・J・ウェグナー
ハンスJ.ウェグナーは20世紀を代表するデザイナーの一人。 「デニッシュモダン」を世界に広める大きな役割を果たし、人々の家具に対する考え方に大きな影響を与えました。1943年、ウェグナーは自分のデザイン事務所を開設。翌年1944年には中国の椅子にインスピレーションを得た、チャイナチェアシリーズの最初の製品を発表します。このシリーズの一つがYチェアです。1949年にデザインされ、1950年からカール・ハンセン&サンで生産がスタート。それ以来生産が継続されており、最も商業的に成功しているウェグナーの椅子となっています。ウェグナーは、多作な家具デザイナーと言えます。特に椅子については「椅子の巨匠」と言われるように500脚以上の作品を残し、その多くが名作として世界各国で注目を集めています。またルニング賞、大阪国際デザイン賞(1997年)など、優れたデザイナーに与えられるほとんどの賞を受賞しています。