10年前、デンマークに住んでいた友人を訪ねたときのこと。
せっかくなら、デンマークの家具やインテリアに触れるところに
行きたいなぁと考えていたところ、「北欧スタイル」という雑誌で
たまたま見つけた「工芸博物館」に行こうと考えました。
「工芸博物館」とは、1926年にデンマーク近代家具デザインの
父コーア・クリントがリノベーションした建物で、
アルネ・ヤコブセンの時計やインテリア、ポールヘニングセンの
照明、ハンス・Jウェグナーやフィン・ユールの椅子など
デンマークが誇る巨匠たちが作った作品がずらりと展示してある
博物館です。中世のものから現代のものまでずらっと展示
してあり、中庭を囲む回廊となっている館内は、ぐるりと一周
すると中世から現代までのデンマーク・デザインの歴史も学ぶこと
ができます。シンプルで飽きのこないデザインでもある、
私が大好きなYチェアに座れるカフェも併設しており、
見る楽しみからゆっくりくつろげる場所でもあり、
すごくお気に入りの場所となりました。また、そこでは、
館内を巡っていると、デンマークでは、テキスタイル(布)の文化
がすごく前から根付いていることを知りました。
デンマーク・デザインは、昔からあるものにヒントを得て、
新しいものを生み出すという伝統があるそうですが、
1950年代の生地が飾ってあっても、今見てもまったく
そのまま使っても新しい違和感もないデザインに感じ、
すごくびっくりさせられました。そんなゆったりとした時間を
楽しんでいた矢先、その博物館内にあったショップで、目に
飛び込んできたものが。
色使いや素材、デザイン、なんともやさしい風合いのマフラーが
目に入ってきました。手に取るとすごく柔らかな生地で、
日本ではなかなか見られることができないデザインのもので、
デンマークらしいシンプルで手作り感のある温かみを感じられる
マフラーに出会いました。冬の時期でもほっこりする気分に
させてくれるアイテムとなりました。その後のデンマーク旅行中は
もちろん使い続け、もちろん、日本に帰ってきてからも私が
今も使い続けているマフラーになります。デンマークの
テキスタイルデザイン。どんな服にも合わせても
うるさくないけど、さりげなく目立つような、それでいて、
流行にも負けないようなデザインがあり。ここに
デンマーク・デザインのすばらしさが凝縮されているように
思っています。ものを大切にして、シンプルで、長く使える、
暮らしの中で心が温まるものこそが、「スローライフ」に
沿った暮らしが出来ていると感じています。